文系作品を創作する芸術家
文芸作品を創作し、それを職業とする小説家は多くの人が憧れるところでしょう。
確かにかつては直木賞や芥川賞といった有名な賞を取った作家ともなれば、その後の人生は印税などで左うちわの生活ということもありました。
しかし時代が代わり、世の中全体における小説の娯楽性が低下したということもあり、小説家は必ずしも「稼げる」仕事ではなくなってきています。
最近では芥川賞を受賞した作家が糊口を凌ぐためにアルバイトをしていたというようなニュースが報じられるように、必ずしも新人として華々しくデビューをしたからといってすぐにバラ色の人生が待っているというわけではありません。
特に純文学系の作家はここ近年非常に厳しい状況に置かれていると言ってよく、小説一本で食べていけるのはせいぜい10年くらいとされています。
デビューをしたらそこで勝ち確定というわけではない現代においては、作家自身がプロデュース能力を備えておく必要があります。
文章を読むという娯楽は完全になくなることはないものの、全体数としてかなり減少していることは確実です。
現在作家として活動している人のほとんどは副業として何らかの仕事をしていることが大半で、文章のみで生活できる作家という職業は現在においてはほぼ絶滅危惧種と言ってもよいでしょう。
執筆のフィールド自体は広がっている
しかし従来のように出版社を通して作家活動を行う人の収入が落ち込む反面、作家として新しい可能性を試すことができるフィールドは広がってきています。
作家活動のみで生活していこうとするのはかなり大変ですが、反面で仕事をしながら自分の創作を職業にするという道は以前よりも大きく広がってきているのです。
若者向けのライトノベルや女性向けの作品制作など、ジャンルそのものは数十年前よりもかなり細分化されてきているので、自分の得意分野を活かした創作活動をしていくことで、本職以上の収入にするということも十分に可能です。
かつては原稿用紙で応募していた文学賞も、現在では入力フォームなどのオンラインでの入稿が当たり前になっており、より気軽に作家となるためのチャレンジができるようになっていると言えます。
一方で社会問題になっているのが著作権の問題で、オンライン上に掲載された作品が作者の意図を離れて無断で拡散してしまうという問題も起こってきています。
同じ文章を職業にすると言っても、数十年前までと現在とではかなり稼ぎ方に違いがあるというのが実際のところと言えるでしょう。
小説家の魅力は、自分自身の創造性を発揮し、それを商売につなげていけるというところにあります。
収益にするまでは大変ですが、それを乗り越えることで仕事としての楽しさを見つけていくことが可能です。