減少する日本の木工文化を支える職人
日本では古くから木材を使った家具や住宅建築使用されてきたということもあり、木工職人や大工といった仕事は非常に高い社会的地位がありました。
現在まで全国に残されている寺社などの建造物を作り上げたのは、そうした優れた腕前を持った木工細工職人たちの仕事によるものです。
木造建築は今も多くの住宅に使用されている方法ですし、近年では木のぬくもりを感じられるナチュラル風なインテリアも人気となっているので、家具職人の需要は決して低いというわけではありません。
しかし一方で家具メーカーは年々淘汰が進んでおり、実際に市販されている木工製品を製造しているのは海外の工場ということがほとんどです。
ですので現在家具職人として仕事をしていく人は、大量生産でのライン製造ではなく、高級家具やオーダーメイド家具の設計や修理といった仕事をメインにしていくことになります。
世間的な求人需要はそれほど高くはないものの、現在はかなりなり手が不足しており、かつ技能を習得するまでに長い年月がかかることから、一人前として仕事ができるようになれるかどうかが大きなポイントです。
大手メーカーか中小規模の木工所か
家具職人の勤務先としては、まず大手家具メーカーや地方の中小企業の木工所があります。
先にも述べたように現在木工製品の多くは海外での工場で行われているので、国内での仕事は主に規格や設計というところがメインです。
一方で地方にある中小規模の木工所では、オリジナル家具を製造していたり、独自にアンティーク家具の修繕を請け負っていたりします。
大手家具メーカーでもオリジナル家具を国内で生産しているところはありますので、自分がどういった仕事をしていきたいかということで就職先を選ぶとよいでしょう。
家具職人は木工製品を扱うという性質上、学校で実習をしただけでは十分な技能を身につけることはできません。
木材は鉄鋼製品と異なり気候や湿度によって収縮が起こるので、それぞれの木材の特性を活かした家具づくりが求められるからです。
そのため最終的に自分で工房を持ちたいと考えている人も、まずは実際に木工製品を取り扱う場所で経験を積んでいかないといけません。
地方の木工所や工房の場合、ほとんどが木材を名産品としてきた伝統工芸を活かしたものとなっています。
工芸品の場合は後継者が必要になってくるので、そうした場所で高い技術を教えてもらうということも、独立のための技能習得には非常に役立つことでしょう。
家具職人は会社員のように常に安定した給与が得られるという職種ではありませんが、技能の習得とともに時代のニーズにあった製品づくりを自分で提案していけるのが魅力です。